・HIPHOPとの出会い
世の中には無数の音楽がある。私は主に「HIPHOP」や「R&B」のジャンルとされている音楽が好きだ。
HIPHOPを好きになったきっかけはLil Uzi Vertの「Canadian Goose」という曲。
それまではHIPHOPをまったく聴いたことがなく、食わず嫌いしていた。この曲を知ったきっかけは覚えていないが、「HIPHOPってこんな感じなんだ」と思った。
ビートがクセになり、ドハマりしてひたすらリピートしていた。
私は一度ドハマりした曲は飽きるまでそれしか聴かなくなる。
1週間ほどで飽き、他の曲も好きになるかもしれないという期待を抱き、その曲が収録されているアルバムの曲や他のアルバムを1通り聴いてみた。しかし、まったく好きになれなかったのである。Uziを代表する曲の1つである「XO TOUR Llif3」も今では大好きだが、その時は何も刺さらなかった。
当時の私は邦楽洋楽問わずポップスばかりを聴いていた。そのためか私の耳はHIPHOPを受け付けなかったのだ。
「Canadian Goose」を好きになったのは単なる偶然だった。
・HIPHOPの耳
HIPHOPとの出会いは正に未知との遭遇だった。なかなか私の耳はHIPHOPを好きになってくれなかったが、「あんなにドハマりした曲があるのだから絶対他も好きになるはず」「本当に好きになれるかな」と半信半疑になりながらも聴き続けた。
そして出会ったのがUziの「That's a Rack」だ。自分好みのサウンドだった。
ここで半信半疑が確信に変わった。
これをきっかけとして耳がHIPHOPに慣れ始めた。気が付けば曲単体ではなく、Lil Uzi Vertというラッパーそのものを好きになっていた。
所謂「トラップ」が当時の自分にとってHIPHOPの入り口だった。
ここから終わりのないdigが始まったのである。
・digる楽しさ
UziをきっかけにYoung Thug、Futureなどトラップを代表するラッパーを知った。最初に聴いた時から好きになる曲もあれば、時間をかけて好きになっていく曲もある。この時点ではわかりやすくノレる曲や「かっこいい」曲を好きになる傾向があり、それが2年ほど続いた。R&Bとされる音楽や独創的な曲を作るYEやTyler The Creatorなどのラッパーの良さはまるでわからなかった。だが、HIPHOPを聴き続けたことで耳が徐々に慣れ始め、いろんな曲調を好きになれるようになった。
こうなってくるとdigが更に楽しくなる。「こんな良いラッパーがまだいたのか!」と驚かされる毎日だ。
・経験値が「好き」の範囲を広げる
この見出しが、私が一番伝えたいことだ。
最初は良さがわからなかったラッパーも聴き続けていると、いつの間にか好きになっている。あの瞬間は本当に快感である。
HIPHOPを聴き続けていると自然と他のジャンルにも興味が向き始める。
耳が完全にHIPHOPに慣れた頃、R&Bにもハマるようになった。Daniel CaesarやFrank Oceanなど、最初は理解できなかったが、今では大好きなアーティストだ。夜に家でスピーカーから流し、穏やかな気持ちで時間を過ごす。至福である。
さて、見出しの話に戻ろう。
この4年ほどの音楽体験を通して、改めて経験値の重要性を思い知らされた。
絶対好きになれないと思っていたアーティストのアルバムを気が付けばダウンロードしていた。そんなことが何度もあった。「好きの幅」が広がっているということだ。
これは音楽以外のことでも起こりうる。
例えば、ファッションで言うなら最初はかっこいいと思えなかったスタイルが1年後には好きになっていたということもあるだろう。その逆も然り。
経験によって人の感性は広がり、変わる。
そしてこの感性の変化に自身で気づく瞬間は快感で、知的好奇心を刺激する。
今でも音楽やファッションのdigは続けている。それに終わりはないからだ。
世の中には大量のコンテンツがあり、それは1つ1つが底なし沼だ。
すべてを知り尽くすことは不可能であり、だからこそ楽しい。
知ることで「好きの幅」が広がり、感性や考え方に変化が起こる。
それの繰り返しが人としての成長を促すのだと私は考えている。
これが人生を豊かにするための手段の1つだと思う。
少なくとも私は音楽からそう学んだ。
ほぼJ-POPしか聴かなかった私が今ではUS HIPHOPを皮切りにR&Bやアフロビーツまで聴くようになったのだ。素晴らしい変化だと自分では感じている。
今やっていることがしんどくてもそれは必ず自分の感性を進化させるために役立つ、そんな考えを持って日常を過ごすことが大事なのだろう。